遺留分

遺留分・遺留分減殺請求権とは

2016/07/08

bsnanikasetunaikimochi

相続に関するルールの中でもとりわけわかりにくいのが遺留分
しかし、遺留分というのは法律が相続人に与える強力な権利ですので、
無視するわけにはいきません。

この記事では、遺留分・遺留分減殺請求権とは何なのか?
について、かみ砕いた形で解説をしていこうと思います。

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▼遺留分とは何か?

遺留分とは、相続人に最低限保証された遺産の分け前のことを言います。
民法は亡くなった人(被相続人)の配偶者と子供、および、親に遺留分を
認めています。
(親が相続人となるのは、子供がいない場合(すでに死亡している場合を含む)
でかつ親が生きている場合です。亡くなった方が若かった場合等、親が相続人
となるケースは想定されますが、若くして亡くなった方がまとまった遺産を
残しているケースとなると相当レアケースといっていいでしょう。)

遺留分に基づいて他の相続人の相続財産を自らに渡すよう主張する権利を、

遺留分減殺請求権といいます。

 

▼なぜ遺留分があるのか?

遺留分は、相続人の遺産に関する期待値を保護する趣旨で規定されています。
遺留分に関しては、「法律がそこまで踏み込むのか」という批判的な意見も
存在しますが、現状では相続人の非常に強力な権利として存在感を放っています。

 

▼遺留分が力を発揮する場面とは

そもそも相続人の権利は法定相続分により規定されており、
遺留分云々ではなくて法定相続分を主張するのが筋ではないのか?
と疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

もちろん、法定相続分を主張できる状況下において遺留分を主張するということは
あり得ません。(遺留分として保護されている権利は法定相続分の半分です。)

遺留分を主張する場面というのは、相続人が自らの相続分を遺留分以上に
奪われてしまった場合です。

具体的には、亡くなった人が遺言によって二人いる相続人(亡くなった人の子供)
のうち、同居をしている相続人Aに自宅不動産を相続させ、同居していない
相続人Bには何も渡さない、としていた場合に、相続人Bは相続人Aに対して、
不動産の価格の4分の1にあたる金銭ないしは不動産の持ち分を渡すように
主張することができます。(遺留分減殺請求権
※亡くなつた人の遺産は居住していた不動産のみとします。

この主張は必ず裁判で行う必要はなく、相続人Aに対して口頭で行うことでもOKです。
これは、相続人Aからすると非常に厳しい主張になります
相続人Aとしては、不動産の持ち分を渡すことは非常に都合が悪いですから、
(不動産を共有してしまうと、売却などの際に手続きが煩雑になる、
次の相続が発生した時に権利が細分化され過ぎてしまう、といった問題を生じます。)
金銭で話をつけたいわけですが、不動産の価格が高かったり、相続人Aに金銭的余裕が
無かったりすると、相続人Bに金銭を支払うために結局相続した不動産を売却しなければ
ならない、という事態になりかねないからです。

 

▼遺留分の割合

各相続人が有する遺留分の割合は、次のように定められています。

・配偶者、子供が相続人に含まれる場合
遺産総額の2分の1についての各相続人に認められる法定相続割合

・配偶者、子供が相続人に含まれない場合(つまり、相続人が親だけの場合)
遺産総額の3分の1についての各相続人に認められる法定相続割合

 

例えば、相続にが配偶者と子供2名の場合、それぞれの相続人に認められる
遺留分は次のようになります。

配偶者 4分の1(2分の1×2分の1)
各子供 8分の1(4分の1×2分の1)

 

▼遺留分への対処法

遺言を残す身としては、当然に遺留分の脅威を計算に入れなければなりません。
遺留分対策としてよくやる方法は、遺言の内容として相続分を0とする相続人を
作らず、全員に対して、最低でも遺留分相当の遺産は相続させる内容を盛り込んで
おくという手法です。
これをやることで、「何を」相続させるかをあらかじめ決めてしまうことができるので、
上記で紹介した不動産を売却して遺留分の支払いに充てる、といった事態を回避することが
可能となります。
(遺留分を考慮した分配をするための遺産が遺言作成段階において存在しない場合には、
そのままではこの手法は使えません。)

上記のほかに、「遺留分を生前に放棄する」という手続きが存在します。
相続人本人が遺留分を放棄する意思がなければできませんが、あらかじめ放棄してもらうことが
できれば、将来の遺留分行使におびえる必要が一切なくなりますので非常に有効です。
ただし、この手続きは放棄する人に意思があればできるというものではなく、放棄の意思に
加えて家庭裁判所の許可も必要となるので注意が必要です。

実際に生前の遺留分放棄の手続きを活用する場面としては、ある相続人が、自らは相続分0で
納得しているが、すでに高齢であり、遺言を書いた人よりも自分が先に亡くなった場合には
代襲相続で自分の子供が相続人となるところ、子供が遺留分を行使するか否かまではわからない
という場合です。
この場合には、自分が元気なうちに遺留分を放棄しておくことで、万が一自分が遺言者よりも
先に亡くなってしまっても代襲相続をした子供が遺留分を主張することを回避することができます。

(代襲相続人はすでに放棄された遺留分を主張することはできません。)

ちなみに、相続発生後(遺言者死亡後)は家庭裁判所の許可なく遺留分の放棄が可能です。

 

▼遺留分権の消滅

遺留分権は、遺留分権を有する者が、遺留分を侵害されていることを把握してから1年経過
または相続が発生してから10年が経過すると消滅します。
したがって、遺留分権者が遺留分を侵害されているという事情を把握している場合には、
他の相続人は1年間息をひそめて待ち、もしその間に遺留分権者が遺留分の主張をしなかった
場合には、晴れて遺留分の脅威から解放されたということになります。

以上、遺留分について解説をしました。
遺言を作成する際には、必ず遺留分のリスクをチェックするようにしましょう。

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